この記事で扱う内容
この記事では、Pythonでvenvを使う理由や必要性について初心者向けに比較・解説します。
前提
前提知識・前提スキル
- Windows OS の基本操作ができる人
前提環境
- 使用PC
- OS が Windows 10または 11であること
- Pythonがインストールされていること
venvとは
venvは、Pythonのプロジェクトごとに独立したPython実行環境(仮想環境)を構築するためのモジュールです。
Python3.3以降、Pythonに標準的に組み込まれるようになりました。
このモジュールを使用することで、他のプロジェクトに影響を与えずに、パッケージのインストールやバージョン管理をすることができます。
これにより、例えば「あるプロジェクトでは古いバージョンのPythonモジュールを使いたいけど、別のプロジェクトでは最新バージョンのPythonモジュールを使いたい」という場合でも、それが問題なく実現できるようになります。
venvを使わない場合と使う場合の違い

パッケージ追加・変更・削除時の影響範囲の違い
venv使う? | パッケージ追加・変更・削除時の影響範囲 | パッケージインストール先 |
---|---|---|
使わない | Python全体共用環境 | Python全体共用環境のパッケージインストール先。 例) C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python313\Lib\site-packages\ |
使う | 仮想環境のみ | 仮想環境のパッケージインストール先。 例) D:\PyCharmProjects\PythonVenvProject.venv\Lib\site-packages\ |
venvを使わない場合、全体共用環境を使うため、例えば「あるプロジェクトでは古いバージョンの○○パッケージを使いたいけど、別のプロジェクトでは最新バージョンの○○パッケージを使いたい」という場合に、どちらか一方のパッケージを選ばなくてはいけなくなります。
一方、venvを使う場合、プロジェクトごとに独立した環境を使うため、プロジェクトごとに○○パッケージが使えます。
使用するモジュールの違い
venv使う? | 使用するPython | 使用するpip |
---|---|---|
使わない | 全体共用のPython 例) C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python313\python.exe | 全体共用のpip 例) C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Programs\Python\Python313\Scripts\pip.exe |
使う | 仮想環境のPython 例) D:\PyCharmProjects\PythonVenvProject.venv\Scripts\python.exe | 仮想環境のpip 例) D:\PyCharmProjects\PythonVenvProject.venv\Scripts\pip.exe |
venvの使い分け方

基本的には、venvの仮想環境を使うことをおすすめします。
ただし、以下のような場合などは、Pythonの全体共用環境を使うと良いと思います。
- Python標準ライブラリしか使わない
- Python環境を統一して使いたい
- Python環境を分散したくない